2012年4月10日火曜日

胸のしこりから考えられる病気 医学メモ


胸のしこり

胸にしこりを感じます。
乳がんではないかと気になります。

上記のようなケースで悩んでいる人が多いらしい。 確かに乳がんの代表的な症状のひとつに胸のしこりが挙げらる。 しかし、胸のしこりは乳がん以外の病気でも現れる。

では、胸のしこりからどんな病気が考えられるか? 胸のしこりから考えられる、乳がん以外の病気はつぎのものがある。

乳腺症、乳腺のう胞、乳腺線維腺腫、乳腺葉状腫瘍、乳腺炎。

それぞれの病気は、しこりの状態によってある程度分けることができる。 その症状や状態を次ページ以降にまとめる。

胸にしこりが出来るのはなぜか?

まずは、乳房の構造を理解しなくてはいけないので簡単に説明する。

乳房は主に乳腺と脂肪組織で構成されている。 乳腺は15〜20の乳腺葉の集まりから成り、各乳腺葉は乳頭へ続く乳管を持っている。

子供が生まれると、乳腺葉にある乳腺細胞が働いて母乳がつくられる。 そして乳輪腺を通って母乳が出るようになっている。

乳腺は女性ホルモンの分泌と密接な関係があり、月経の周期に合わせて乳腺が大きくなる。 月経前に乳房が張ったり痛んだりするのは、乳腺が大きくなることなどが影響している。

しこりの原因も女性ホルモンが影響していると考えられるが、そのほかには乳管の中に分泌 物がたまることなど、それぞれ病気によって異なる。


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乳腺症

30〜40歳代の女性に多くみられる胸のしこり。

しこりの状態
  • しこりにでこぼこ感がある
  • しこりの境界が不鮮明
しこり以外の症状
  • 鈍い乳房の痛みや張りがあり、乳頭から透明の分泌物が出る
  • 時にはリンパ腺が腫れたりすることもある
概略メモ
胸にしこりができる代表的な病気。 しこりは大小数多くでき、指で触れると周囲がはっきりしない、弾力性のあるでこぼこ感がある。
しこりは月経前に大きくなり、月経が終わると小さくなる。 閉経すると症状は軽くなる傾向がある。
乳腺症のしこりは乳房内の上皮や乳腺の間質という部分が増殖したもの。 主な原因としてホルモンの乱れ、特にエストロゲンの過剰な分泌が考えられている。
検診には、触診、超音波検査、マンモグラフイーなどを行う。 治療には、症状が強い場合は鎮痛剤やホルモン剤、漢方薬などを処方する。
乳腺症は良性のしこりで、乳がんに移行することはない。 しかし、乳がんと合わせて起きていることもあるので注意が必要。

乳腺のう胞

30〜50歳代に多く見られる乳腺症の一種。


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しこりの状態
  • つるつるしたしこり
  • しこりに痛みがない
しこり以外の症状
概略メモ
乳管の一部に液体がたまって袋状になった良性のしこり。 特に痛みはなく、軟らかくつるつるした感じのしこりで、超音波検査で診断できる
自然に治ることもあり、そのままにしておいても問題はない。 しこりが気になる場合は、乳房に細い針をさして液体を吸引する。

乳腺線維腺腫

思春期から20歳代にかけてよく見られる乳腺の病気。


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しこりの状態
  • 硬くて平らなしこり
  • しこりがよく動く
しこり以外の症状
概略メモ
乳腺線維腺腫は乳房の線維成分と乳腺が増殖することが原因でおこる。 主に女性ホルモンの影響によるものと考えられている。
乳腺線維腺腫のしこりは硬くて平たく、表面はすべすべしてよく動く。 複数個できることもあり、大きさは小豆大から鶏卵大までとさまざま。
良性の腫瘍なので、痛みや皮膚の引きつれ、つっぱりを感じることはない。 通常、しこりの大きさが10mm以下であれば経過観察する。
ただし、しこりの感触が乳がんと似ているので、周囲が不整なしこりがあるときは、 念のため細胞診断などの検査をおこなった方が良い。
大きなものや急に大きくなったものなどは手術で摘出する場合もある。 手術は皮膚を数センチ切開してしこりを取り出す簡単なもの。 傷は目立たず、入院の必要はない。

乳腺葉状腫瘍

30〜40歳代に多くみられる病気。


しこりの状態
  • 硬くてすべすべしたしこり
  • 急速に大きくなる
しこり以外の症状
概略メモ
乳腺線維腺腫とよく似た症状があり、2〜3か月の間で急速に大きくなるのが特徴。 左右の乳房の大きさがまったく異なってしまうことがある。
ほとんど(8割)は良性な腫瘍だが、悪性のものもあるので注意が必要。 良性のものはしこりだけを切除する。 悪性の場合は乳房切除手術が必要になることもある。

乳腺炎

産後授乳期に見られることが多い病気。


しこりの状態
  • 時々しこりを感じる事例あり
しこり以外の症状
概略メモ
乳腺炎には急性と慢性がある。
急性乳腺炎は母乳が乳腺にたまりすぎが原因で炎症を起こす「うっ滞性乳腺炎」と 乳管から細菌が入って炎症を起こす「化膿性乳腺炎」がある。
発熱、腫れ、痛み、悪寒、ふるえなどの症状が現れる。 ときにはしこりのような硬さを感じる場合もある。
治療の基本は、たまりすぎた母乳を出すこと。 高熱がある場合は、抗生物質を使用する。
化脆性乳腺炎が重傷になった場合、切開して膿を出さなくてはならない。 この場合、子供への授乳をやめなくてはいけない。
慢性乳腺炎は、授乳期以外のときに起こる。
急性化脆性乳腺炎の治療をきちんと行わなかったために慢性化したものと考えられるが、 授乳に全く関係なく起こることもある。
痛みや腫れがあれば、抗生物質を使用する。

血液検査キット

乳がんもそうだが、癌予防は早期発見に尽きるので、普段から自己検診(月に3回くらい)を習慣にすると良い。 自己検診は意外と簡単なので乳がんの自己検診(自己触診)についてを参考にして欲しい。


もし、少しでもしこりが気になるようであれば病院で検査をした方がよい。 しかし仕事等で忙しく、わざわざ病院へ検査に行くのが面倒であれば、病院と同じ精度の検査が自宅で簡単に出来る血液検査キットが販売されているので、それを利用する方法も有る。

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