五十肩(肩関節周囲炎)、変形性膝関節症、慢性関節リウマチなどの診断を受けた方は多かれ少なかれ関節の破壊はMRIやCTでみられます。「関節が壊れているから痛くて当然」「壊れた骨が痛みを出しているからどうしようもない」と諦めている人も多いようです。
実際はどうでしょう?
これらの疾患で共通する関節の破壊による痛みを理解するために、関節の構造についてのお話が必要になります。皆さんに分かりやすいように、ここでは簡単に基本的なことをお話しすることにしましょう。
例として膝の関節で説明します。膝関節は太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)と膝下の脛の骨である脛骨(けいこつ)とその上にある膝の皿である膝蓋骨(しつがいこつ)との間の関節です。
大腿骨と脛骨の間を大腿脛骨関節、大腿骨と膝蓋骨の間を大腿膝蓋関節と呼びます。
私達が立ったり、歩いたりする時に頭や体の重みを支える役目を大腿骨と脛骨が行い、膝蓋骨は膝の曲げ伸ばしを容易にする働きをします。
みなさんがMRIやCTで関節が破壊されていると画像の説明を受けるのは、体重を支える大腿骨と脛骨が向かい合っている大腿脛骨関節です。
「だいぶ関節の軟骨が磨り減っていますね・・・」という説明ありますよね。
大腿脛骨関節は骨と骨が向かい合い関節を作っています。この関節の大腿骨と脛骨の合わさる部分にはそれぞれ関節軟骨があります。MRIやCT画像でその関節軟骨が磨り減っているなら痛くて当然のような気分になってしまいます。一生痛いままかと諦めてしまいます。
しかし、この関節軟骨には痛みを伝える神経は存在しません。だから普段歩いたり走ったりして体重が膝にかかっても痛みが無いのです。関節面の骨から脳へ痛みを伝えようとするならかなり激しい破壊が必要でしょうね。逆に関節外の骨の表面には骨膜があり痛みを伝える神経が存在します。脛を打った時に激しい痛みを感じますよね、あれです!
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痛みを伝える神経は関節を構成する部分の軟骨には存在せずに、関節の骨以外の部分には存在するということをぜひ覚えてください。ほとんどの方の関節変形による痛みは骨が痛みを脳へ伝達し感知しているのではないという事実を。
骨と骨が合わされば関節が出来るわけではなく、関節を構成するために半月板(はんげつばん)・靭帯(じんたい)・関節包(かんせつほう)・筋肉などが存在します。
半月板は脊柱の椎間板のようなクッションの役割をし、関節を構成する骨と骨を靭帯がつないでいます。靭帯は関節が過度に曲がったり伸びたりしないように、関節の動きを制限するブレーキの役割を担っています。関節を包み込むように関節包が存在し、関節面の動きを容易にするために関節包内に関節液を含みます。関節液は動きのための潤滑油としてまた関節軟骨の栄養源ともなっています。関節を関節包が包みその周りに筋肉があります。この筋肉が縮むことで関節を動かすことができるというわけです。
さて関節軟骨には実際に痛みを伝える神経はありません。膝は・・・でも痛いですよね?
そろそろお気づきでしょう。そうです!関節を取り囲む半月板・靭帯・関節包・筋肉に痛みを伝える神経が存在するのです。スポーツ選手の怪我でよく聴きますよね、半月板損傷とか十字靭帯断裂などなど・・・!
関節内で起こる痛みを出す物質を関節軟骨以外のものが痛みの元である炎症物質を感知し痛みとして脳へ知らせてくれているのです。関節内の炎症の有無がポイントです。痛み学で5徴候の話が出ましたよね。膝関節に発赤・発熱・疼痛・腫脹・機能障害は見られますか?
五十肩・変形性膝関節症・慢性関節リウマチなど、病名の名前は違えどもこれらにみられる激しい痛みのある時期(痛くて肩が挙げれない、歩けない)は急性期として共通しています。急性期は炎症物質が痛みの原因です。 関節内で炎症が起きており、この痛みをだす炎症物質を半月板・関節包・靭帯・筋肉が感知しているのでしょう。ということは・・・・!急性期は薬剤が主役となりますね。急性期の症状の方は必ず医療機関を受診しましょう。
筋肉のジュースは何をするのでしょうか?
しかし、皆さんは「昔は痛みが強い時期が数週間〜数ヶ月(重度の方は入院の経験がある)あったが今はその時のような強い痛みは無いが関節を動かすと痛い」とか「強い痛みで動けないという時期は無かったが、膝の変形はあるし歩くと膝に痛みを感じるようになってきた」などという状態ではないですか?
この様な症状の方は炎症5徴候の中でも急性期の最初に見られる発赤・発熱・腫脹が明らかに見られないで痛みがありませんか?
・・・・?どうも今感じている痛みは炎症が主役の痛みではないようですね!
昔し強い痛みがあり入院した人などで痛みが現在も続いている人は、入院期間中に痛みのために動けなかった時期があります。この時期に関節の動きも少なく、運動量も低下しているため関節を構成している靭帯・関節包・筋肉などの柔軟性の低下や筋力・持久力低下や閾値低下(痛み学参照)などが起きて、個人により大小の差はありますが現在も柔軟性・筋力・持久力・閾値低下が持続している可能性がありますね。
要は膝の周辺組織がひ弱なままでリハビリ不足ということです。
みなさんの膝関節では以下の状態がみられませんか?
・膝の曲げ伸ばしの出来る範囲が狭くなっていませんか?
(可動域制限:かどういきせいげん)
・膝を曲げ伸ばしする時の動きに滑らかさが低下していませんか?
(関節の曲げ伸ばしで引っかかるような感覚や抵抗感やグツグツと鈍い音がするなど)
・膝周囲の筋肉を触ると硬くなっていませんか?
(痛い部分の筋肉を触るとゴムのような弾力性というよりもカチカチと硬い感じがする)
・筋肉を押すと痛みを感じやすくありませんか?
(痛みのある周囲は軽く押しても違和感や痛みを感じやすい)
・筋力が低下したまま足が以前より細くありませんか?
ポリオの広がりはどのように速くない
(痛みのある側と無い側の足の大きさが違うなど)
急性期の症状がなく徐々に膝関節の破壊が進んでいる人(痛みが徐々に増してきている人)も上記の問題と同様のことが膝関節で起きているはずです。痛みが出た時から膝が悪くなったのではなく、痛みの無い時期から徐々に膝周囲の組織変性が進行して悪くなってきていたというのが事実です。
何度も言いますが、骨や筋肉は小さい頃の発育段階でも損傷と修復は繰り返し行っています。20歳を超えると徐々に衰え損傷していくのは当然のことです。関節の軽い変形や動かす時(歩行・スポーツなど)の違和感を感じるような場合は、早期からの体調管理を始められることをお勧めいたします。
決して痛みが出た時から急に悪くなっているのではなく、その組織破壊の進行は痛みの無い時期からあるのです。痛みが出る時は体が「これ以上壊れたらまずいよー」て悲鳴を上げているのです。虫歯が軽い時期は痛みが無いのと同じですね。
女性に多いO脚(変形性膝関節症)などは変形が進んでからはまず改善は不可能です。年齢は関係なく鏡で見て「少しO脚気味かな?」と感じるようなら、すぐに適切な管理を始めるべきでしょう。適切なウォーキングやエクササイズを継続することによる股関節の内転筋やハムストリングスの柔軟性の維持・強化が重要ですね。早期からの動作改善(歩行時の筋肉の動きを適正な動きへ再教育する)というのがポイントなんです!
整体のO脚矯正などは・・・・?私個人としては持続効果がないためお勧めしません(笑)
皆さんならお分かりですよね、24時間〜365日〜数年という中で日常繰り返される歩行などの動作の積み重ねにより関節変形は進んでいくものです。それに対して病院や整体に通い注射や数分間のポキポキで治してもらおうという発想がズレていることを。
膝関節面の破壊は手術をしないと修正できません。ましてや進行した膝関節の変形を手術をせずに矯正するなど100%不可能です(笑)。
誰かに治してもらおうという受身の姿勢ではなく、あなた自身が意識して行う持続効果を出すための健康作りでなくてはいけないのですよ!
話を戻します。入院を必要とする急性期ではない皆さん(慢性期)では、純粋に膝関節の軟骨だけが問題で痛みがあり動きが悪いという人はまずいないでしょう。
関節軟骨の破壊による関節自体の動きの悪化は痛みや可動域制限の原因の一つになるのは事実です。関節の破壊に対して骨以外の部分に対する改善は皆さんの努力でしか対応できないということです。
膝の痛みの軽減や歩行スピード・距離の増加を図るためには、関節をトレーニングする技術と筋肉の柔軟性・筋力・持久力を強化する技術の専門的なサポートが重要であり、なにより皆さんの日々の努力が重要になってくると思います。
膝関節を例にお話しましたが他の関節の痛みも同じです。関節に明らかな強い炎症が無い方は薬よりもまずは筋肉の硬化改善や筋力・持久力強化を専門的にできる人のいる環境で努力してみてください。きっと今よりも痛みは軽減していくと思いますよ。(^-^)
慢性期の薬の効果の無い時期に薬をせがんでも効果が無いからと言って「このやぶ医者」と怒っている人は筋違いですよね(笑)
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