小見出しは私が付けたものであることを書き記しておきます
坐 骨 神 経 痛 様 下 肢 痛
事務職員などのようにいつも座っている人は小臀筋にトリガーポイントを作る危険性がある。そして、坐骨神経痛に良く似た痛みを下肢に発生させる。
坐骨神経痛という診断は下肢に痛みがある人に付けられるよくある診断名だ(それはしばしば坐骨神経とは無関係なのだが)。
適切なストレッチングなしで走るような運動は小殿筋のトリガーポイントを作ることになります。
腰 椎 側 湾 症
イラストAを見てほしい。この筋肉は交通事故に遭ったときや滑って転倒したとき、あるいは転倒しそうになったときによく損傷する。この筋肉が損傷すると、トリガーポイントが形成され、筋短縮が発生して、その結果、損傷した側の骨盤は上に引っ張られ、肋骨は下に引っ張られる。
この筋肉が傷害を受けると、トリガーポイントを形成し、傷害を受けたのと同じ側に筋短縮が起こり、骨盤を持ち上げ肋骨をひきさげる。(側湾症)
イラストからも分かるように、短縮した筋肉の影響は頚にまで達する。臀部と肩はあたかもリーダーに従うように水平でなくなっている。下肢の長さの違いにも気づく。この種の体の歪みがあると、頚部痛や背部痛が生じるであろうことは容易に想像できる。
交通事故による障害筋肉
腰方形筋にトリガーポイント が出来ると、収縮して反対側より短くなる。これは同側の骨盤の後ろを引っ張り上げ、同側の骨盤の前方を下方に回旋する。このとき特徴的な痛みが始まる。大腿直筋は骨盤の前方に付いているので、骨盤の前方が下方に回旋すると、この筋肉にトリガーポイントが生じ、骨盤の機能障害としばしば膝痛を生じさせる(イラストB)。
腹直筋には、交通事故のとき、シートベルトで圧迫されてトリガーポイントが生じることがある(イラストC)。この筋肉は骨盤の前方にある恥骨に付着しているので、骨盤の機能障害が起きると、この筋肉も巻き込まれる。腹直筋にトリガーポイントが生じると、その関連痛は腰部まで及ぶ。そしてまた、無菌性膀胱炎の多くの症状の原因となることがある。
類似症状を呈する成りすま し筋の4大スター
· A:小臀筋→坐骨神経痛
· B:大胸筋→狭心症
· C:腹直筋(下部)→虫垂炎
· D:僧帽筋(上部)→偏頭痛
"成りすまし筋"のリストのトップは小臀筋だ。片方の脚により多くの重心をかけて立っているとこの筋肉にトリガーポイントができ、臀部、大腿、下腿の痛みの原因になる(イラストA)。通常、一方を怪我したとき、他方に体重を移して立っている。
この痛みのパターンを見ると、しろうともヘルスケアの専門家もともにしばしば坐骨神経痛だと思ってしまう。坐骨神経痛とは痛みパターンの説明で真の診断名ではない。小臀筋の関連痛パターンは、この筋肉は"偉大なる詐欺師"とあだ名が付けられるのに値するものだ。
しばしば、左の胸部に強い痛みを訴え、左の腕にも痛みが広がっている患者が訪れる。医師によって可能性のある心疾患に対する適切な検査がされて異常がなかったので、M.Rを紹介された。大胸筋のトリガーポイントは胸部に痛みを作り、その関連痛として腕に痛みが放散する(イラストB)。この痛みの関連痛パターンは心臓発作の関連痛パターンととてもよく似ているので、大胸筋は私達の"詐欺師"リストの大スターである。
虫垂炎は年齢に関係なく、しばしば警告なく起こるごく一般的な健康問題だ。虫垂が摘出されたが、病変が見つからなかったという報告はたくさんある。このようなケースでは犯人は下部の腹直筋だ。イラストCで痛みのパターンが見られるように、この"詐欺師"は下腹部に虫垂炎と似た痛みをつくる。
下部腹直筋のトリガーポイントは、自動車事故のときシートベルトの下の部分で活性化することがある。また、痛みを伴う月経周期によることもある。下部の腹筋のこれらのポイントは、下痢や憩室炎や婦人科的障害を模倣した徴候を誘発することある。
片頭痛は、今日のストレスの多いライフスタイルにあまりに普通にみられるようになった。多くの人々は、毎日、毎週、毎月、頭痛を患う。頸部後方の筋肉(首の後ろに)のトリガーポイントは、ひどい頭痛(例えば片頭痛、緊張型頭痛と外傷後頭痛)に、常に関係している。たとえば上部僧帽筋のトリガーポイントが活性化すると予想範囲の頭痛と頚痛が起き"模倣された偏頭痛"といわれるものになる(イラストD)。これらの筋肉が強く収縮することにより大後頭神経を圧迫して、筋痛のみならず神経の痛みも同様に引き起こす。
すべてのスポーツ障害;テニス肘、ジョガーズヒール、シンスプリント、二頭筋腱炎、滑液包炎、などは"成りすまし筋"をもつ。実際、成りすまし筋はしばしば痛みの症状の一部の原因になっている。スポーツで筋肉を幾度も幾度も使ったあと、もしこれらの筋肉が正常な静止長にストレッチで戻されないと、筋肉は次第に硬くなってきて、痛みを作るポイントが形成され短縮する。よい例は、"成りすまし筋"テニス肘の指伸筋と回外筋だ(イラストなし)。テニス肘はくり返される筋肉の微小外傷による。その筋肉は短縮して痛みの原因になる。ふくらはぎのヒラメ筋、腓腹筋、前脛骨筋(イラストなし)はジョガーズヒールやシンスプリントの"成りすまし筋"だ。
滑液包炎の根本的原因
短縮した痛みのある筋肉は、滑液包炎の根本的原因の多くを占めている。
イラストAの大腿筋膜張筋は大腿骨転子部の滑液包炎のような痛みをつくる。ハイジャンプで両足で着地したときや、一方向に傾いている地面でウオーキングしたりランニングしたりしたときにこの筋肉にトリガーポイントができる。
他の一般的な"滑液包炎"は大腿直筋にみることができる。イラストBにしめす。大腿直筋のトリガーポイントは膝の上に痛みをつくる。これは膝蓋骨の滑液包炎と誤診される。この筋肉のトリガーポイントはスキーの転落事故やランニング時に作られる。長時間、車の中で重い子供を膝の上に乗せていたようなことでもこの筋にトリガーポイントができる。
踵の痛みはいろんな原因で起きる。実際にはひらめ筋のトリガーポイントが原因でも踵に痛みがおきるが、これはしばしば、踵骨部滑液包炎と誤診される(イラストC)。ランナーがくり返して足先(トゥ、足裏球)で着地するとひらめ筋の過負荷がおこり、トリガーポイントが形成される。足首をしっかり固定しないでスキーやスケートをすると、やはりヒラメ筋は過負荷となる。
肩の前方の痛みは、上腕二頭筋腱の下の滑液包炎に似る。肩甲骨の棘下筋(イラストD)のトリガーポイントの痛みは肩の前方に出現し、二頭筋滑液包が作る痛み似ている。転倒しそうになって後ろに手をついたり、ワゴンをひっぱったり、いやがるペットをひっぱってあるいたりした時にこの筋のトリガーポイントは活性化する。
交 通 事 故
マーサがMyoRehabに無料相談に来たときは、鎮痛剤や筋弛緩剤の効果もなく6ヶ月間もすでに過ぎていた。
腹直筋のトリガーポイントは、しばしば背部や腰部の痛みの原因となる。(イラストA)
マーサの車が追突されたとき、ヒップをしっかり固定したシートベルトの前方の部分は、腹直筋などの下腹部の筋肉を傷めた。腰のレントゲンで背骨の損傷がなかったので、彼女の主治医はただちに軟部組織が損傷を受けたと思った。
マーサが腹筋のストレッチをしたり、長時間座ることによって腹筋を縮めると、彼女の腰痛は強くなった。マーサは、筋筋膜トリガーポイントが体の前方から後方へ関連痛を起こすことを知っておどろいた。彼女の腰痛の神秘が解決すると、マーサは希望を持った。
彼女は依然として頭痛に苦しんだが、これは交通事故のせいではなくアレルギーのためだと考えてた。マーサは訪問した当初は頭痛について言及しなかった。彼女が頭痛についてアドバイスを求めたとき、私たちは交通事故の数週間あとから頭痛がはじまったことを知った。遅れて頭痛がはじまったので、マーサは交通事故と関係があるとは思っていなかったのだ。彼女の痛みのパターンは鞭打ちでしばしば損傷する2つの筋肉の特徴的なものだった。それは胸鎖乳突筋=SCM(イラストB)と僧帽筋(イラストC)だ。この2つの筋肉が示す痛みのパターンを彼女に見せたとき、マーサは「それが私の痛みです!」と叫んだ。
長時間デスクワーク
MyoRehabに来たとき、彼は痛みが背中からスタートしてお尻にかけて降りて来ていると表現した。朝方、調子が悪くてベッドから起きるのが大変だ。ボブは熱いシャワーと売薬の鎮痛剤で痛みをコントロールしていたが、もはや限界だった。ボブは身体トレーニングに熱心なのだが、ここ数ヵ月間、ジムで運動できないことが体重増加の原因だと心配していた。余分なウェートが腰痛悪化に関わっていると感じた。
ボブは技術屋で、長時間デスクワークをしていた。彼は自分のことを"デスクジョッキー"と紹介していた。夕方になると彼の腰痛は耐え難いものになった。ボブは真っ直ぐに立つのは困難だといった。そして腰をかがめてトイレへ行くのだった。彼の病歴を徹底的に再検討した後に、動作範囲評価をした。これによって、ボブの痛みの原因になっている重要な部位を特定できた。
ご想像のとおり脊柱の両側の筋肉は緊張して痛みを持っていた。 これらの長い筋肉は一括して傍脊柱筋(paraspinals)として知られている。 (イラストA) 傍脊柱筋のトリガーポイントを触診するとボブの痛みはほぼ再現された。トリガーポイントとは、それが刺激されたとき予測される範囲に関連痛が生じる痛覚過敏になったポイントで、筋肉内にある。傍脊柱筋のトリガーポイントは腰上部にあり、そこからの関連痛はボブの腰から臀部にかけて起きていた。
ボブはまた腰椎に沿った特徴的な痛みを描いた。この痛みは腸腰筋によるものだった(イラストB)。腸腰筋は腰椎の前方から発し、骨盤を横切って大腿骨の上部に至っている腸腰筋は傍脊柱筋と共に、体を直立させる役割がある。一般に、これらの筋の一方が傷害されると、もう一方の筋にトリガーポイントができるのは時間の問題だ。これらの筋の一方を治療するとき、もう一方も治療されねばいけない。そうしないと、これらの筋のバランスがとれず、痛みを強くするかもしれない。この痛い状態がたやすく戻らないように、もう一方の筋もまた治療されるべきだ。
ゼルノームは、永久的な損傷を与えるん。
私たちは、ボブの痛みが継続している要素に到達した。ボブは胎児のような格好をして寝ていることを発見したのだ。股関節を屈曲位に保つ(膝を胸に近づける)ことは、腰痛にとって部分的にはいいのだが、それは一晩中、腸腰筋を短縮していることになるのだ。ボブが朝立ち上がろうとしたとき、彼の腸腰筋は、典型的な痛みパターンを発して伸すのに抵抗した。 同様に、この格好では、一晩中傍脊柱筋は伸展しているので、彼が立ち上がったとき、それが短縮して、傍脊柱筋の中のトリガーポイントは、明確な痛みのパターンを呈した。胎児の体位は、机に座った格好に似ている。長時間の座位のあとボブは真っ直ぐに立ち上がれないことはこれで説明できる。就寝時の姿勢を変えて、痛みを永続させ ている要因を取り除き、職場や家庭でできる具体的なエクササイズを用意してやるとで、この「デスク・ジョッキー」は普通に仕事ができるようになった。ボブはまた、次のことを学んだ。「この損傷が再び起きないようにするには、ものを持ち上げる時、膝を曲げて腰を真っ直ぐに保つことだ。」
ブラジャーと広背筋
広背筋は骨盤、脊柱、上腕骨前方に付着している。雑草を引き抜くような動作や、クマデでを使う動作することによって広背筋のトリガーポイントは活性化する。剪定ハサミを使うとき腕を体の前方に固定しているので、やはり広背筋を使いすぎることになる。
イラストAの×印はトリガーポイントの部位で、イラストBの赤い色の部分は痛みのパターンを示している。
訪ねるとメアリーは痛みは次第に腕を降りて来たといった。メアリーの痛みのパターンの詳細で、私たちは確信した。いくらかの治療のあと、痛みは部分的に改善したのみだった。メアリーは庭仕事を止めていたので、このことは私たちにとって新たな不思議なことだった。何をしているので痛みが続いているのだろうか?
痛みのサイクルが続いている他の要素を考える必要があった。いくらかの治療のあと、痛みは部分的に改善したのみだった。私たちの女性のセラピストが、メアリーが服を着替えているのを観測したとき、はじめて分かった。きついブラジャーが脇腹のところで、深い食い込みを作っていた。この継続した圧迫が広背筋にトリガーポイントを活性化し存続させていたのだ。椅子から立ったり座ったりするときに腕を使う動作が、この筋肉をいっそう悪化させていた。行動や身につける物やその他のものが、コンスタントにストレス状態を筋肉にもたらしているとき、私たちはこれらを「継続因子」と呼んでいる。メアリーの「継続因子」が特定されて、それが取り除かれたとき、治療は成功した。ホーム・エクサ サイズ・プログラムによって、痛みの再発は防がれ、MyoRehabを再訪問することはなかった。
腸 腰 筋
ハル(47才、Adaptive Physical Educationの教師)は子供が、部屋の中を飛び回っていて、手に負えない状態になっていることを見た。彼は走りながら、右腕を伸ばして子供を捕まえた。 胴体が右にひねられたとき、彼は腰にするどい痛みを感じた。痛みのレベルは、考え得る最高の痛みを10として、1から10のうちの7であった。彼は、助けなしに椅子から立ったり座ったりすることが困難であった。彼が最初に訪れたとき、彼は数年前から熱心なボディービルダーで、重量挙げの選手でさえあったと告げた。数年前より彼は腰椎椎間板ヘルニアと診断されていて、再度損傷したのだと不安になった。ハルは腰椎の手術を選択しなかったのだが、今回はその必要があるのではないかと不安になった。
ハルの腰を調べてみると、腸腰筋という身体の芯の深い所にある筋肉、そのあだ名は"隠れたいたずら者"なのだが、まさにそのとおりを演じていた。腸腰筋は、2つの筋肉が結合したものだ(イラスト参照)。一つは腸骨筋といって骨盤の内側にあり、他方は大腰筋といって腰椎と椎間板の前方に付着している。それは骨盤の"あな"を通って下行し、そこで腸骨筋と合流している。それらは共に大腿骨の上部に付着している。これらの2つの筋肉は股関節の主要な屈筋で、膝を胸に近づける動作をする。
多くのケースで、腰痛があるときや椎間板の膨隆や椎間板ヘルニアがあるときは大腰筋が関係している。大腰筋が脊柱の両側で短縮しているのなら、それは脊椎前弯を促進する。脊椎前弯は一般的には"sway back"として知られている。 一方が他方よりも短縮している場合は、一方では椎体間のスペースは狭まり、他方では広がる。このことはウェッジ(楔形)効果で腰に恐れられているヘルニアを起こしやすくしている。
ハルは数年前より重量挙げをしていたので、大腰筋にトリガーポイントを形成していた。他の筋肉も巻き込んではいたが、この"隠れたいたずら者"が彼の腰痛の主な原因となっていた。トリガーポイントは筋肉にできた痛覚過敏の点で、それは可動域を制限し、また通常同側に予測しうる範囲に関連痛を生じさせる。それは直接的外傷、使いすぎ、反復動作によって筋肉内に生じる。
腰 方 形 筋
サムはある寒い冬の朝、車へと歩いていき、ドアに手を伸ばそうとした時、薄氷が張っているのに気が付かず、足を取られて滑った。彼は足をばたつかせたが転びはしなかった。その様子は、アイススケートショウでピエロがみせる転びそうで転ばないあの格好だったと彼は言った。 このことがあってしばらくして、サムは腰痛を感じはじめた。咳やくしゃみで痛みは増強した。彼は実際に転びはしなかったので、痛みと凍った路面でおきたことと関連づけることはなかった。 彼は温めたり売薬の鎮剤を使用したりしたが、痛みをなくすことはできなかった。ベッドでの安静はかえって悪化した。運動は良い感じがしたので、ジムでのトレーニング続けようとした。運動をしているとき痛みは軽減したが、しばらくたつと、かえっ� ��悪化した。彼のパーソナル・トレーナーは、筋肉がきずついているのかもしれないといって、MyoRehabに検査のためさしむけた。彼の痛みのおきた経過を詳しく調べたが、サムは転びそうになったことは決して思いつかなかった。かれは数ヶ月前、重い箱をいくつか運んだことと関連付けたが、最近になるまで痛みを感じることはなかった。腰の筋肉にストレスがかかったもっと最近の出来事はないかと尋ねたところ、サムは凍った道で転びそうになったことを話した。「私は実際に転ばなかったので、このことの関連性はないと思います。」と彼は付け加えた。筋肉が損傷するには転んで地面を打つことは必ずしも必要ではない。
交通事故や転びそうになった時など、身体のバランスが不安定になった時はいつも、外傷から身を守るために筋群は力強く防御のために働く。その筋群の一つが腰方形筋だ(イラストA) 腰方形筋は腰椎の両側にあるとても強い筋肉で、咳をしたりくしゃみをしたり笑ったりした時に胴体を安定させるのに役立っている。この筋肉は座位から真っ直ぐに立ち上がるときに収縮する。サムは椅子から立ち上がるときにとても痛いといった。
痛い所を指さしてくださいというと、サムは腰の下の方とお尻のあたりに手をやった。イラストBに示すように、痛みはその筋肉の部位にない。これは筋筋膜トリガーポイントの特徴だ。トリガーポイントとは筋肉内の痛覚過敏になったところで、そこが刺激されると通常、予測しうるトリガーポイントからはなれたところに関連痛をおこす。
腰方形筋と腰痛にかかわったその他の筋肉を治療した後に、関連筋を正常な静止状態の長さの戻すためのストレッチに焦点をおいた特製ホーム・エクササイズプログラムをサムに渡した。そして、腰に負担のこないような立ち座りの方法を教えた。 ジムでの抵抗運動やウェートトレーニング、再び筋肉を緊張させ腰痛を引き起こすような種類の運動をしばらくの間しないようにサムに伝えた。ジムでは腰痛を悪化させない範囲で、ウォーキングマシーンなどで歩くことをサムに奨励した。
お尻と股関節部の痛み
アニタ(44才、教師)は臀部と股関節部の筋筋膜性トリガーポイントの治療のため彼女のカイロプラクターによって、紹介されてきた。彼女は2年前、箱を上の棚に上げようとして、後ろにによろめいて転倒し、右のお尻を強打したのだ。
転倒によって生じた腰痛に対してはカイロプラクターによってうまく治療されたのだが、お尻と股関節部の痛みは相変わらず続いていた。彼女はまた、下腹部に力を入れた時の痛みのほかに頻尿も経験した。これらの症状は転倒してから数週間から始まった。アニタは尿路感染様の症状が転倒と関係しているとは知らなかった。尿路感染について生化学的検査をしたが陰性だったので、どうしたものかと思った。細菌学的検査も陰性だったので、抗生剤は効果がなかった。
3回目に筋筋膜性疼痛の治療が行われるまで、アニタは尿路感染に関して訴えることはなかった。さらに質問してみると、カイロプラクターの骨盤調整によって、尿路感染様症状はわずかに改善しているように思えた。
トリガーポイントは筋肉を短縮する。筋肉の短縮は次々に関節のアライメントの異常を持続させる。トリガーポイントは筋肉にできた痛覚過敏なポイントで、それが刺激されたとき、通常トリガーポイントから離れた部分に予期される範囲に関連痛を起こす。アニタの場合は関連痛はお尻と股関節の部分だった。 不運にも彼女の尿路感染様の症状はお尻と股関節の痛みと同時に再発した。痛みの改善のためのカイロプラクティックのアジャストによる治療の効果は2,3日しか続かなかった。骨盤と股関節のアライメントの不具合が続いていて症状が再発する原因は筋肉にあるということは私達やカイロプラクターにとってあきらかなことであった。
あなたが想像するように、大臀筋の筋筋膜トリガーポイントは臀部痛と股関節部痛をおこす。しかし、大臀筋の深部にある梨状筋が第一の犯人だ(イラストA)。それはこの筋肉が仙骨と大腿骨の上部の両方に付着しているためだ。梨状筋のトリガーポイントは仙骨のミスアライメントになりうる。
私達の疑いは正しかった。いくつかの筋は骨盤底の痛みの原因になりうる一方、大内転筋は登り坂の時に使われ、下り坂のときは使われない。(イラストB)
モルトン足
腰痛の多くの人はそれが起きた出来事を思いだすことができる。たとえば、腰を深く曲げて重いものを持ち上げたり、滑ったり転んだり、その他の明らかな災難だ。一方、腰痛が長年かけて徐々に起きたように思える人もいる。これらの人は年齢もせいだと思っている。時間的要素はあるものの、年齢は無関係だ。足の構造が筋肉に負担をかけて疲労や不適切な動きをきたしている人がいる。時間をかけて、関係する筋肉は収縮、短縮して、痛みが生じることがある。 "モルトン足"の人は歩くときに踵と第2趾の付け根のところに負荷がかかる。つまり足裏のたったの2点なのだ。踵と第1趾と第5趾の付け根の3点に負荷がかかる歩き方はより安定性がある。"モルトン足"の人は2点で支えて歩くので、これはナイフのエッジを歩くようなもので、足の動きを固定させている。この不安定性のために、それをカバーしようと、足と足首を固定させるので、下肢、股関節、腰に負担がかかる。
腰方形筋のトリガーポイント
一年以上もこの痛みが続いていた。病歴をチェックし、詳しく質問してみたが、このことを起こしたような重要な外傷的出来事はなかった。
座っているとき、彼女は左腕に体重をかけて、左に傾いていた。こうしていると少しは臀部痛が和らぐと彼女は言った。右に傾いて座るように試したところ、モニカは両方の臀部に痛みを感じた。それは胸郭下部から左のお尻にかけて左側を束縛していた。パズルのピースは合い始めた。
咳が続いた期間がなかったか尋ねてみた。約二年前、風邪ウィルスが胸についたことがあるとモニカは答えた。永遠に続くかと思うような咳になった。激しくて長期間の咳は、胴体を安定に保っている筋肉を"鞭打ち"状態しすることがある。胴体の安定に寄与している第一の筋肉は腰方形筋だ(イラスト参照)
DSM IV産後うつ病
腰方形筋のトリガーポイントの活動がモニカの痛みの原因だった。筋筋膜トリガーポイントは筋肉にある痛覚過敏なポイントで、それを刺激すると、通常離れた部位に予測しうる範囲に関連痛が生じる。臀部痛を起こす可能性のあるその他の筋肉のトリガーポイントは、大臀筋、梨状筋(大臀筋の深部、臀部の深いところ)、半膜様筋(ハムストリング筋の一つ)だ。
これらの筋のトリガーポイントの活動性をみるために、可動域テストをしたが、腰方形筋が他の筋肉より際だっていた。この筋肉が「腰痛のジョーカー」であることにはもはや疑いはなかった。他の筋肉にもトリガーポイントの活動がみられたが、臀部痛の原因ではなかった。
腰方形筋のトリガーポイント活動は、臀部と腸骨部とそけい部に関連痛をおこす。この筋肉は第12肋骨と腰椎と腸骨の上部に付着している。この筋肉は「ヒップ・ハイカー」として腰椎の安定化などいくつかの機能がある。それは、側方屈筋としても働く。つまり、胴体を一方へ再度引き起こす。この筋肉は激しい咳やくしゃみや笑うというようなときに、胸郭を安定させる。
左肘に体重をかけて傾いて座ることは一時的に臀部の痛みを避けたが、実際、長い目で見ればトリガーポイント活動と痛みが続いた原因となった姿勢であった。恒久化している要因は、ほとんどの場合、無意識にされる。痛みを避ける姿勢の歪曲は、筋筋膜トリガーポイント痛と筋肉機能不全で最も一般的な恒久化している要因のうちの1つである。
メアリージョーがMyoRehabに来たとき、臀部の痛みのために短い時間でさえ座ることができなかったので、座ってする気晴らしは行えなかった。痛みは15年以上前に起きた怪我のためだった。それは、自転車旅行の時、転倒して右のお尻を強打したのだ。長年のうちにほとんど痛みは解決したのだが、長距離のドライブとか映画を見るように長時間座っていると、いつも痛みがぶり返すのだ。 この痛み問題は転倒してお尻を強く打った人にとってありふれた問題だ。時には、引き金となった出来事がずいぶん昔のことなので、忘れ去られて久しいことがある。多くの人はこの痛みはカー・シートやオフィス・シートの問題だと思っている。どんなに多くの種類の椅子に変えても、長時間のドライブやデスク・ワークで� ��みは戻ってくる。
この種の臀部痛を起こすことのある筋肉のうちの一つは中臀筋である(イラストA)。一見したところ、この筋肉は腰の端にあるので、尻の痛みのありそうもない候補に見えるかもしれない。イラストA1、A2で見えるように、お尻にある痛みのパターンは黒と白で表したX印の筋筋膜トリガーポイントによるものだ。 筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にできた痛覚過敏な点で、それが刺激されたとき、離れた部位に予測される範囲に関連痛を生じる。また、筋肉内に"taut band"と呼ばれる短縮を生じる。それは全ての運動範囲を制限する。 中臀筋は強力な筋肉で、第一の機能は立位の時に腰をしっかり支えることだ。メアリージョーのケースでは、自転車から落ちたとき、お尻を打って骨盤を揺さぶったので、中臀筋は攣縮し痛みを起こすトリガーポイントになった。
梨状筋はお尻の深部、大臀筋の下層にある。この筋の痛みのパターンはイラストBで示す。尻餅をついたときやはり影響をうける。
これらの筋肉の治療を受けたあと、メアリージョーは治療中にえられたリリース状態を保つために、ホーム・エクササイズ・プログラムを教えてもらった。そして、痛みがなくなって退院した。しかし、2週間後にメアリージョーから電話があり、彼女は治療のために戻ってきた。臀部痛が再発したが、以前のとはちょっと違う感じがするといった。
いつから、なぜ痛みが起きたのか注意深く分析して、さらに可動域テストを行った。明らかな原因以外についても検討した。彼女の痛みのパターンは臀部の折り目のところにあった。ここは臀部の下方で、大腿と連結しているところのカーブだ。
半腱様筋、半膜様筋はハムストリングと呼ばれている筋群に属している。これらの筋群の痛みのパターンはイラストCで示すように、臀部の折り目のところにある。これは、いままで他の筋肉からの痛みによって隠されてしまっていた痛みのもとであることが分かった。 最初の転落の時に、ハムストリング筋は損傷を受けたのだろうが、トリガーポイントが臀部の下部に痛みを作っているところの永続した要因がなくてはならない。メアリージョーの仕事は長時間のデスクワークだったので、ワークステーションのデザインについて質問した。彼女の説明から、彼女のキーボードは、ドロップダウン・キーボード・トレイではなくて机の上にあることを知った。タイプを打つときに手首の痛みを避けるために、キーボ� ��ドに対応するために椅子の高さを最高にしなければならなかった。
メアリージョーはあまり背が高くなかったので、彼女の足は椅子からぶら下がったようになった。このことが、椅子の角が大腿の裏に圧力をかけて、ハムストリング筋にトリガーポイントを作っていた。
ハムストリングに治療を加えたあと、これらの筋群が完全な静止長を保つようにとするエクササイズがメアリージョーに与えられた。彼女はまたドロップダウン・キーボード・トレイを机にとりつけた。
"bunion(腱膜瘤)"("onion"と韻をふむ)はフランスの古語が語源で、頭の腫れまたはこぶという意味だ。医学辞書によればbunion(腱膜瘤)は、第一中足骨の骨頭にみられる滑液包(腱と骨の間にありジェルで満たされている)の腫れだ(イラストA)。
あなたの足底には痛みや苦痛を起こすかもしれない2つの小さな筋肉がある(イラストB)。これらの筋肉に筋筋膜トリガーポイントができると、2つの筋力は結合して母趾を引っ張りアライメントが崩れる。それだけでなく、痛みが生じるがこの痛みは腱膜瘤からの痛みと実質的にみわけがつかない。
イラストBで、右側の短母趾屈筋のトリガーポイントは偽の腱膜瘤の痛みをつくる。左側の母趾外転筋のトリガーポイントはタウトバンドを作り母趾を正中線方向に引っ張る。そしてすでに炎症が起きている腱膜瘤の痛みと苦痛を増強する。
運動範囲テストはミステリーについて回答を与えた。長母趾伸筋、長趾伸筋という小さな筋群のトリガーポイントはしばしば見逃される(イラストC)。これらの筋群は共同して歩行時に趾と足を引っ張りあげる。これらの筋群はまた、趾をあげた状態に保つ。そして床で足をフラットにする最後の部分を遅らせる。
トリガーポイントがこの2つの筋肉に起きると、この痛みを避けるために"アンタルジックな歩き方"をするようになる。そして母趾の外側で歩くようになり、そこの滑液包がイリイリする過程が始まるのに十分である。趾をそのことから逃れさせるために、足の小さな筋肉を代用し、過重するようになる。このことが母趾に痛みを加えるトリガーポイントを作る。最終的にはこれらのトリガーポイントは母趾を歪めて、さらに腱膜瘤を複雑なものにする。
膝 痛
微妙ではあるけれども、歪められたパターンは彼女の右の股関節と大腿の筋肉に過重な負担をかけた。関係したこの2つの筋は膝に関連痛を生じる。
大腿直筋(イラストA)は股関節と膝関節の両方の関節を横切る。そのトリガーポイントによって作られた痛みは膝に起きるが、トリガーポイントそのものは筋肉の反対側のサイドにある。この筋肉は2つの関節を横切るので、歩くことと立ったりしゃがんだりすることの二つの役目をする。
内側広筋(イラストB)はただ膝関節を横切るだけである。この筋肉の二つのトリガーポイントもまた膝に痛みを作るが、この筋肉は多くの人が"トリック膝"と称しているところのものに責任がある。この関連痛は"膝崩れ痛"である。これは膝に過負荷をかけたときにときどき膝が崩れることだ。これら両筋は四頭筋と呼ばれている筋肉の一部をなしている。トリガーポイントの徴候が多様で、治療者や患者によく知られていないので、痛みや機能障害の原因はよく知られていることに間違えられる。レベッカの場合も視力や48才という年齢は何も問題ではなかったのだ。
腸腰筋のトリガーポイントは腰痛の原因
今年の休暇中の買い物は前年よりも楽しくはなかった。レジの長い列に立っていると、メーガンはしつこい腰痛を感じるようになっていた。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内の痛覚過敏なポイントで、それが刺激されたとき、通常、予測しうる範囲でトリガーポイントから離れた部位に関連痛を起こす。腸腰筋のトリガーポイントは腰痛の原因になる(イラストA)。
この筋肉の痛みのパターンはメーガンの脊椎の上下に現れた。イラストに見られるように、腸腰筋は大腿の全部にも痛みをつくった。メーガンはこの大腿全面の痛みは、犬の散歩のせいだと思っていて、決して腰痛と関係あるとは思わなかった。第二子の出産後、メーガンは容姿を保つために毎日、腹筋運動をした。休暇の前になるとメーガンの腰痛は増加した。これがの増加した痛みは腰全体にあった。この痛みのパターンは腹筋にあるトリガーポイントのため起きたとき、彼女は友人にアドバイスを求めた。たぶん腰が痛いのは腹筋が弱いからだと友人は言った。メーガンは腹筋運動の回数を増やしたが、そのたびに腰痛は増加した。メーガンであった(イラストB)。腹筋を強くすることは良い考えなのだが、トリ� ��ーポイントがある場合は、筋肉強化は痛みを増加させる。最初にトリガーポイントを治療して、そのあとに、痛みなく筋肉を強化されなければならない。
交通事故と斜腹筋
彼女の車がターンするのを見逃したスピード違反の車が警告なしに追突してきたので、彼女は気絶して倒れた。当初の10年間は、グレチェンは頚と背中の痛みに焦点を合わせた治療を行った。しかし、痛みが緩和するのは、治療後のせいぜいしばらくの間だけだった。痛みは数日後には再発した。彼女はMRに来た。そして、病歴を検討した。グレチェンは幸せな既婚者で、56才の引退した建築家だった。カレッジを卒業したあとしばらくはバレーダンサーをした。痛みが継続したことが、引退を決心したこととなんらかの関係があると彼女は言った。座位と立位の彼女の姿勢が徹底的に評価された。そして、胴が少し右にねじれていることが分かった。さらなる検査で、腹斜筋にトリガーポイントがあることが分かった。これが彼女の胸郭を下方にねじれて固定させていたのだ(イラストA)。またこのことが頚と背部の筋肉を攣縮状態にして、頭をいつも真っ直ぐに保っていた原因だったのだ。
筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にできた痛覚過敏なポイントで、それを刺激したとき、通常離れた部位に予測される範囲に関連痛が生じる。また、タウト・バンドと呼ばれる筋収縮が誘発される。タウト・バンドによる継続する収縮は、筋付着部炎という厳しい痛みを生じさせる。2回目の訪問で、彼女の下腹部の筋肉の治療が行われた。この筋肉の痛みは10年もの間続いていたので、グレチェンの私生活にも大きな影響を与えていた。彼女は下腹部のトリガーポイントの一つを触診して、関連痛が、「上へ、内方へ」くることを説明した。彼女は膣の性交痛があり夫婦生活が満足に行えていないことを説明した。男性の場合は、これらのトリガーポイントは睾丸痛、性機能障害を起こす。彼女は過敏� �腸症候群と診断されていたと言っていた。彼女は尿失禁を起こすようになり、実際の感染のない、生化学的検査陰性の尿路感染様の症状にしばしば悩んだ。腹部のトリガーポイントは、膀胱と尿路の括約筋の頻繁な攣縮をおこし頻尿となる。また、排尿痛、そけい部痛が続く原因となる(イラストB)。これらはまた、年長児の夜尿症の原因となる。これらのトリガーポイントはまた慢性下痢の原因にもなる。言うまでもなく、そのような症状が自動車事故が原因だと知ってグレチェンは驚いた。もちろん私達がそのことを彼女に告げたとき、彼女はその関連性を理解するのが困難だった。「私の健康は追突事故以降に調子が悪くなった。」と彼女は言っているのだが、彼女の疑惑は残されていたのだ。彼女の徴候はどこからともなく来る ようだった。腹部の筋肉におけるトリガーポイントが解決して、痛みのない正常な長さに戻るようにして、背部から頚部にかけての痛みはついに解決した。
歯・歯茎の痛み
関連する精神疾患物質
彼女の歯科医は抜歯を勧めた。彼女はそれに希望 をいだき受け入れた。抜歯の数週間後になっても痛 みは続いていた。すべてが頭の中のことなのか?友人の助言で、ケィティはMRの無料相談に来た。彼女の痛みは、歯の定期クリーニングのために通院する約1年前から始まったことを知った。痛みはいつもあるというわけではないが、次第に悪化しており、より持続的になっていると彼女はいった。短い検査で、ケイティの口は平均より2cm少なくしか開くことが出来なかった。このことについてしばしば責任のある筋肉は2つある。さらに重要なことは、これらの内の一方はもう一方が静止長にまで伸びるのを防いでいるということだ。この伸展の抑制は筋筋膜トリガーポイントが確立する原因になる。
筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にある痛覚過敏な点で、それを刺激すると、離れた部位で予測しうる範囲に関連痛を生じる。側頭筋は頭痛と歯痛の両方を生じさせるので有名だ。それは、たとえ歯がなくてもだ(イラストA)。治療計画は始められた。ケイティはほんの次の訪問で歯痛が減少しているという重要なことに気づいた。側頭筋をちょっと治療してやると痛みは和らぐが長続きしない。咬筋は強い筋肉で顎を閉じる作用がある。それは浅部と深部に分けられる。もし側頭筋が静止長まで戻ることが出来るのなら、咬筋の深部(イラストB)は伸展が可能だ。トリガーポイントは筋肉を短縮した状態に保つ。筋弛緩剤でさえこれらに効果が及ばない。
咬筋の深部筋は耳の痛みも作る。ケイティがこのことを知って、「歯痛がとても強かったのでわずかに感じていた耳痛を無視していた。」と言った。筋肉を明確に特定して効果的な治療をした。そして次の訪問の時にケイティの咬み具合を再度検査した。開口時の彼女の顎関節の本来のジグザグさは次のことを物語っている。痛みが完全に無くなったとしても、結局再度、最初に咬筋、次に側頭筋にトリガーポイントを作ることがある顔の深部に隠れた他の筋肉が存在するということを。翼状突起筋群(イラストC)はの痛みはしばしば副鼻腔の痛みに間違われる。顔面の深部にあり、顎のローリングに重要な働きをする。この筋肉のわずかなバランスの悪さが顎関節症を起こすことがある。これらのそしてまた関係する� ��肉に対して効果的な治療が行われた。そしてケイティに特別なホームエクササイズ・プログラムが与えられた。ケイティは「まるで咬み合わせが変わった」と言った。
自動車事故の鞭打ち損傷と頭痛
衝撃は上部僧帽筋を傷めた。そしてトリガーポイントを形成し、その関連痛は彼女の頭へといった(イラストA)。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にある痛覚過敏な点で、それを刺激すると、離れた部位で予測しうる範囲に関連痛を生じる。ステイシーは外傷後2週間以内のMRに来たので、治療の時間はかなり少なくてすんだ。外傷がまだ急性のときは、筋肉はまだ緊張して副木状態になるまでには至っていない。その状態とは、痛みに適応するか痛みをマスクしてしまうために身体を歪曲してしまうのだが。2度の治療で、僧帽筋のトリガーポイントは不活性化し頭痛は治まった。彼女の頭痛が治まったので、すぐに肩の治療へと移った。
ロバート(トラック・ドライバー)は自動車事故で鞭打ち損傷を頚に起こしていた。彼は10代後半に患った偏頭痛を思わせる強い頭痛にみまわれていた。彼は偏頭痛が再発したと思い、自己注射「イミトレックス」を再開しなければならないのかと恐れていた。鞭打ちの結果として、胸鎖乳突筋(イラストB)が損傷を受けたのだ。この筋肉は頭が過度に後方に動こうとするときに止め手綱の役割をするのだが。彼の頚痛と頭痛は胸鎖乳突筋にできたトリガーポイントのためであった。この筋肉のトリガーポイントは、涙目、鼻水、吐き気、めまい、ふらつき感、ぼやけて薄暗い視野、偏頭痛のような頭痛を起こす。
頭痛を起こすことのある頚の筋肉の損傷はなにも外傷によるものばかりではない。不適当な頭の位置、たとえば一方向にだけ向いたデスクワーク、文書やコンピュータ・モニターを見るために頭を挙げる動作などは頚板状筋に大きな負担を与える(イラストC)。また、たとえばソファの肘掛けや飛行機の中などで、歪んだ姿勢で頭と頚を曲げて眠ることは、この筋肉のトリガーポイントを活性化することになる。頚板状筋のトリガーポイントの活性化は、頭の中に広がった痛みを作る。その痛みは目の裏側で、時に後頭部で強く焦点を結ぶ。人によっては、痛みの有無にかかわらず、後頭部が麻痺したように感ずる。この筋肉の上部のトリガーポイントは、視野がぼやける原因になるかもしれない。これらの症状は治療� ��よってしばしば直ちに完全に解消する。正しい姿勢、職場、人間工学、寝る姿勢、身体力学などについてチェックことなど、明確にすべきこと、消去すべきこと、恒久化すべきこともまた治療に含まれている。修正は必要に応じてなされる。ときに、頭痛の治療は車のシートの正しい位置を教えるのと同じくらい単純なものだ。
自動車事故と膝痛
ジョーはずっと以前に事故は解決済みで膝の痛みは早晩なくなるものと思っていた。しかしそうではなかった。彼は自動車事故のことを話した。光に気づいて車を止めたが追突した。衝突の瞬間、体が車にぶつかるのを防ぐためにブレーキを踏ん張った。
ジョーの大腿部のトリガーポイントは潜在性になった。潜在性トリガーポイントは激しい活動や疲労のときにのみ痛みを作る。このことはなぜ痛みが継続して起きないかの説明になる。ジョーはホームベースにスライディングしてホームランを打ったよりも増して終了した。完全には治癒することのない古傷が再発してしまった。
ジョーが最初に訪れたとき、徹底的な検査で彼の右膝痛の原因として考えられる2つの筋肉が判明した。内側広筋(イラストA)は膝痛を起こすだけではなく、"根性なし"という評価を持った筋肉だ。というのはこの筋肉はBuckling Knee Syndrome(膝くずれ症候群)を起こす可能性があるからだ。膝の深い痛みをつくっているそのほかの主な筋肉は大腿直筋だ(イラストB)。この筋肉は一方で膝蓋骨に付着し、他方では骨盤に付着している。トリガーポイントの見られるのは骨盤に付着しているあたりだ。トリガーポイントが痛みの場所から遠く離れているので、この筋肉はしばしば見逃される。治療はうまくいって、彼の膝痛はかなり減少した。治療によって得られた効果を持続するためにホーム・エクササイズ・プログラムが与えられた。うまくいっていたので、最終評価のために2週間後に来るように伝えられた。約束した日時が来る前にジョーは戻ってきた。膝痛が再発したのだ。ジョーを迎えるために待合室に入ったときすぐに痛みの原因が明らかになっ� ��。彼は右の足首を左膝にのせて座っていたのだ。その格好は、内転筋群(イラストC)を引っ張ることになっていたのだ。その結果、内転筋群に筋筋膜トリガーポイントが生じてしまった。短、長両内転筋は、内側広筋や大腿直筋と同じような痛みをつくる。これらの筋群も膝の近くにないので、膝痛を起こしている可能性のある筋肉として見られることはとても少ない。
踵の痛み・アキレス腱痛
子供のとき、乗馬をしていて、一つの足があぶみにひっかかった状態で投げ出された。さけぶ子供を無視して、驚いた馬は走り続けた。ついに馬は止められリンダは助けられたのだが、彼女の左足はひどく捻挫していた。
私達の評価ではリンダのふくらはぎは、腓腹筋とひらめ筋の両方に筋筋膜トリガーポイントの活性化がみられた(イラストA&B)。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にある痛覚過敏な点で、それを刺激すると、離れた部位で予測しうる範囲に関連痛を生じる。
リンダのケースでは、腓腹筋とひらめ筋のトリガーポイントが作り出す典型的な痛みのパターンとほぼ同じであった。これらの筋肉のトリガーポイントを治療し始めるとリンダは驚いた。今までの治療は痛い場所、つまり足に焦点を合わせたものだったと彼女は言った。筋筋膜トリガーポイントによる痛みを扱うとき、原因となっている部位よりも痛みのある部位を申し出るということは75%以上の確率で間違った部位を治療するであろう。カレンのケースはリンダとは違っていた。彼女の痛みははっきりした出来事なく徐々に起こった。彼女は本格的なランナーで、彼女のことを"ジョガー"とでも言おうものなら、しかめっ面をするものだった。彼女は参加したマラソンレースについて話をすることが好きだった。この初夏、彼女はランニングを減らした。原因は恐れられている"足底腱膜炎"だったと彼女は言った。あるいは仲間のランナーからそう言われていた。彼女がMRに助けを求めて来た時、今までいろんな靴のインサートや民間療法を試したが効果がなかったと言った。カレンの痛みはリンダの痛みと似ていたが、異なった筋肉が含まれていた。
後脛筋のトリガーポイントは足のアーチの所に腓腹筋と同じような痛みパターンを作る。そしてアキレス腱の所にはヒラメ筋と同じような痛みパターンを作る(イラストC&D)。後脛筋は"ランナーズネメシス(復讐の女神)と言われていて、まさにカレンの場合もそうであった。足底方形筋(足底深部の筋)はヒラメ筋が作るのと同じような痛みを踵に作る。
カレンの足を調べたとき、モルトン足と言われている典型的な足をしていることが分かった。それは母指が短く、第2指が長い。この足の構造だと体重は長い第2指と踵の間にかかる。第5指と母指と踵の三点にかかる安定した形をとらないのだ。この構造による不安定性はふくらはぎと足の筋肉をいつも緊張状態にしてナイフのエッジを歩いているようなものだ。正しいインソールを使用しているときはモルトン足の構造はもはや問題にはならなかった。カレンとリンダは治療後、ふくらはぎと足の筋肉をストレッチするそれぞれ個別のホームエクササイズ・プログラムが与えられた。このプログラムは筋肉を正常な静止長に保ち痛みのない状態にするためのものだ。カレンの場合はゴルフボールの上で足をぐるぐる回� ��て、足底方形筋をストレッチするように言った。
交通事故と腰方形筋と傍脊柱筋
イラストAをみてほしい。骨盤と胸郭の一番下の肋骨との間の筋肉を示している。この筋肉は腰方形筋だ。この筋肉は交通事故のときに最も多く損傷する。スリップして転倒、転倒しかける時などに損傷する。この筋肉が損傷すると、トリガーポイントができそれは次第に筋肉を短縮し、損傷した側の骨盤を持ち上げ胸郭を引き下げる。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にある痛覚過敏な点で、それを刺激すると、離れた部位で予測しうる範囲に関連痛を生じる。これはまた、筋肉に痛みの原因となる短縮をもたらす。イラストから分かるようにこの筋肉のトリガーポイントの影響はずっと頚の方までいく。お尻と肩は平行でないことに気づくだろう。また下肢の長さの違いにも気づくだろう。なぜ背中や頚が痛いかはこの種の姿勢の� ��みによって容易にわかることだ。
ダイアナのように多くの人はヒップや腰に痛みを感じなくて、背中や肩あるいは頚に痛みを感じる。座位、立位で腰方形筋の緊張に対応して一方向に傾いている。そしてお尻や腰の痛みを避けている。この歪められた姿勢はお尻や腰の痛みを覆い隠して、その代わりに背中や肩や首の痛みを悪化させる。背中と頚の痛みに関係している他の筋肉は傍脊柱筋だ。この筋群は仙骨に付着する。仙骨は脊柱の基盤になる骨だ。仙骨から発して脊柱に沿って頭蓋骨の後頭部に至る(イラストB)。
傍脊柱筋の一方にトリガーポイントができると、弓の弦のようにピンとはって脊柱を弓のように曲げる。これは一方の肩が下がる原因となる。あなたの脳は両眼を水平に保とうとするので、頚の筋肉は一方で短縮し、他方で延長する。頚と肩の両方にまたがる筋肉がある。このことが、しばしば背中と頚の問題が同様に肩の問題へと発展する原因となる。ダイアナに対する最初の評価で私達は、肩を一方に落として座っているのを見た。この歪んだ姿勢はお尻や腰に痛みを作ることを避けたが背中や肩や頚に痛みを継続する原因となった。
斜角筋のサイドからサイドへの鞭打ち損傷
頭が運転席側の窓に打ちつけられたが、明らかな外傷はなかった。しかしマークは頚に側方の鞭打ち損傷を負った。マークはMRに助けを求めてきた。彼は痛みや辛さについて十分に述べた。肩、背、胸、上腕、前腕、手に残っていた。
マークはすでに手根管症候群と胸郭出口症候群に対するテストはされていた。手根管症候群とは手根骨のトンネルのところで神経が圧迫を受けて起こる。手根骨は手首のところの骨で、トンネルは骨と骨の間のスペースだ。胸郭出口症候群は典型的には、第一肋骨が鎖骨に押しつけられるために腕へ行く神経と血管が圧迫を受けることによる。彼はまた頚椎のヘルニアの有無についても検査を受けた。これらのいずれの検査も陰性だった。肩と腕の筋肉の治療は効果がなかった。多くのエクササイズが与えられた。そのうちのいくつかは彼の頚にとってある程度有効だった。エクササイズのあと一般的に、腕を使うことによって起きたと仮定した痛みがより強くなったと彼は私達に話した。
病歴の検討の後、運動制限と痛みを起こしている範囲を調べるために、マークに可動域テストを行った。可動域テストは頚痛を起こさなかったが、マークが耳を肩に近づける動作にかなりの規制がみられた。このポジションを数秒間保つようにマークに言った。マークの肩、背中、胸、腕の痛みの原因は明らかになった。これらの領域に同時に痛みを作る筋肉はただ一つある。イラストから分かるように、マークの痛みの犯人は全く腕の中にあったのではない。頚の両側にある斜角筋がサイドからサイドへの鞭打ち損傷によって、激しく負荷がくわわって損傷したのだ。このことによって、斜角筋にトリガーポイントが生じたのだ。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内にできた痛覚過敏なポイントで、それを刺激したとき、� ��常離れた部位に予測される範囲に関連痛が生じる。斜角筋とその痛みのパターンの図を見たとき、それは彼が経験した痛みの全てだったので、「私は心臓病にかかっていると思った原因がそれだったのだ!」と言った。斜角筋は胸と上肢に痛みを作りそれはあたかも狭心症になったようだった。マークはまた、朝起きると手がむくんで腫れていたといった。これは、頚の付け根で鎖骨下静脈が斜角筋が突っ張ることによって圧迫を受けるからだ。
交 通 事 故
「時速5マイルで運転していただけのに、どうしてこんなに痛みがつづくのだ?」これは、あるいはこれと似たようなことは軽い鞭打ち症になった人がよく言うことだ。MyoRehabでは私達はこれを相当数の交通事故にあった患者から聞いている。彼らは事故は大きな影響をもたらさないと考えていたのだが。ポウリーンは彼女のカイロプラクターによってMhを紹介された。彼女は追突されて、前方へ押された。衝撃は時速5〜10マイルだった。研究では低速でも相当の損傷を頚部に与えることが分かっている。衝撃によって頭はむち打たれて筋肉やその他の軟部支持組織に重要な損傷を与える。
ポウリーンは背部痛、肩痛のほかに中〜重度の頚部痛と頭痛を訴えていた。シートベルトはドライバーの左肩だけを固定するので、右肩は頭とともに前方へ、素早く動くに任せられる。その結果、頭は前方を向いたままで胴体は左に向いてねじられる。シートベルトの腰〜膝の部分の衝撃は腹部と胸部にトリガーポイントをつくり、痛みとこわばりをおこす。筋筋膜トリガーポイントは筋肉内の痛覚過敏なポイントで、それを刺激したとき、通常離れた部位に予測される範囲で関連痛が生じる。このポイントはまた、タウトバンドという攣縮を筋肉内につくる。タウトバンドは関節の可動域制限を起こす。ポウリーンの病歴検査のあと、可動域検査が行われた。いくつかの筋肉が関係していることが分かった。ま ず、頚の前方部にある胸鎖乳突筋(SCM)、頭蓋骨の底部に付着する僧帽筋、胸部の大きな筋肉である大胸筋だ。胸鎖乳突筋(イラストA)、鞭打ち損傷のときにしばしば問題になる筋肉なのだが、は痛み以外にもいろいろなことを起こす。めまい、ふらつき、眼瞼下垂、耳鳴り、視力障害などだ。
僧帽筋(イラストB)は頭痛を引き起こす最も悪名高い筋肉の一つだ。頭と右肩が激しく前方へ動かされたときに、この筋肉にトリガーポイントが形成される。そして頭痛、背部、肩の痛みの原因になる。交通事故のあと心臓発作のような痛みを胸に感じる人がいる。事実、大胸筋(イラストC)はそのような痛みを作る。また、肩の前方部に、そして腕から手へと関連痛を起こす。この筋肉は乳房の下にあるので、女性ではしばしば乳房に痛みを感じる。シートベルトが腹部に急激な圧迫を起こすことによって、腰背部に痛みを感じる(イラストD)ことがあったり、交通事故にいつも見られるわけではないその他の現象がみられることがある。それらは便秘や下痢や女性の月経異常だ。ある人はすっぱ� �ゲップを経験する。これを香辛料のきいた食べ物のせいだと思っているのだが。シートベルトによる腹筋の損傷によってこのような症状が実際に起きる。
腰痛を起こすことのある肩の筋肉
マークが腕をいっぱいに伸ばして着地した様子を述べたとき、腰痛を起こすことのある肩の筋肉が疑われた。彼の痛みのパターン(イラストA)は広背筋によるものだ。彼の腕が前方へそして頭の上へ伸びた時に、この筋肉はマークが顔を打つのを防いでくれたのだ。広背筋は体で最も大きな筋肉だ。骨盤、脊柱の半分、いくつかの肋骨、そして上腕骨の前方に付着している。この筋肉は背部の半分以上をカバーしていて、損傷したときには背部痛と肩痛が生じる(イラストB)。この筋肉は木を切ったり、クロールを泳いだりするときにいっぱいに伸ばした腕を引き下げる。
私達がマークに頭痛やめまいはないかと尋ねた時、彼は辛い表情をして言った。ここ2年間、特に治療をしなかった軽い追突事故のあと、めまいや頭痛がすることがあると彼は言った。めまいや頭痛の期間は屋根から落ちそうになってから頻繁になった。追突事故のとき最も頻繁に関係するのが胸鎖乳突筋だ(イラストC)。軽い追突事故でも胸鎖乳突筋は損傷する。マークは前方に倒れたときに再びこの筋肉を傷めたのだ。頚を回すこの筋肉にトリガーポイントが出来ると、頭痛のほかにもめまいやふらつき感が生じる。
テニス肘という言葉は、肘の外側上顆痛の総称語
約2年前、マーガレットがテニス肘と診断されたとき、これまでテニスをしたことがないと強く言った。彼女がMRに診察に来たとき、テニス肘という言葉は、肘の外側上顆の痛みの総称語であると説明した。
チョップする反復的な運動は主に上腕三頭筋の一つの筋にトリガーポイントを形成する。(イラストA)。
三頭筋はチョップの動作の時に前腕を真っ直ぐに伸ばす働きをする(伸展)。これらのポイントは肘の痛みを焦点として腕全体に肩から手まで関連痛をおこす。
そしてまた重要な痛みが親指の付け根のところにあった。それはマーガレットがお気に入りのウスゾフ・チョッピング・ナイフをしっかりにぎりしめるために起こっていた。私達のした評価は違ったものだった。腕とう骨筋(イラストB)は前腕を屈曲位にする。この筋肉の使いすぎは肘と母指の付け根に痛みを作る。マーガレットはチョッピングをしていたが、このダイナミックな2点に痛みを作ることはなかった。
マーガレットは週2回の治療を2週間にわたって受けた。そしてかなり良くなったのだが、肘に持続した痛みのポイントが残っていた。トリガーポイントの特定と治療に関して筋肉の再評価が行われたが、元となるポイントは分からなかった。その週末に行われる次のセミナーのためのスライドを準備する間に、事実が分かった。肘筋(イラストC)と呼ばれている筋肉ははしばしば見逃されるのだが、まさにこのような痛みをつくるのだ。
五十肩の主要筋
五十肩の主要な筋肉の一つは肩甲下筋(イラストA)だ。この筋肉は肩甲骨の前方に位置する。またこの筋肉は"丸まった肩"として知られている状態を作る主因となる。この筋肉は肩と腕を前下方、体幹の方へ引き寄せ、"丸まった肩"の様相を呈する。
肩甲下筋にトリガーポイントが出来ると肩と腕は痛みのため動かすことが困難となる。大円筋、広背筋(イラストB)は大胸筋(イラストC)と共に、肩甲下筋を助けて"丸まった肩"を作る。肩甲下筋の動きが制約されると、これらの筋もそうなってくる。
トムはヘルスケアのプロだったので、早期治療の利点を知っていた。
母指の痛み
とえば長掌筋(イラストA)をみてみよう。この筋肉のトリガーポイントは前腕、手首、手掌に痛くてチクチクする感覚を引き起こす。リンダもまた掌の2つの筋肉、母指内転筋と母指対立筋(イラストB)に原因する痛みを母指に持っていた。これらの筋肉は手根管症候群のまねをするので、手術をする前には考慮する必要がある。
彼女の職業としてのトリガーポイントを作った他の筋肉は上腕筋だった(イラストC)。この筋肉からの上腕の痛みはリンダの症状の一部であったが、母指の痛みと関係しているとは夢にも思わなかった。それは何時間も一度に前腕を曲げてキーボードに向かっているためのものだった。
回内筋(イラストD)、タイプをうつ時に掌を下に向ける筋肉、は手首と母指の痛みの原因になるのみならず、手根管症候群に責任のあるまさにその神経、正中神経を圧迫する。手根管部はこの神経が圧迫を受ける唯一の場所というわけではない。
前腕、上腕、肩にうずくような痛み
レイチェル(帳簿係)は右手にうずくような痛み、前腕、上腕、肩に痛みをもってMRにきた。彼女は消炎鎮痛剤やそのほかの治療を試してみたが、この痛みに2年間も悩まされていた。
多くの治療家は手と上腕の明らかな筋肉についてある程度の成果をあげていたが、痛みは持続していた。このことについての一つの考えられる理由は、あまり知られていない筋肉について治療がされていなかったことだ。それは肩甲下筋(イラストA)と小胸筋(イラストB)だ。
肩甲下筋の痛みのパターンに気づくこと。この筋肉は肩甲骨の前面に付着していて肩関節の前方へ伸びている。この筋肉の痛みのパターンは肩の後ろと最も顕著なのは手首である。
他の重要な筋肉は、大胸筋の下にある小胸筋だ。この筋肉は肩を前方に動かしたり、下方に下げたりする補助をする。レイチェルがマウスやキーボードを使うとき、小胸筋を収縮した状態で肩の動きを保持していたのだ。上肢や手に行く神経や動脈は小胸筋の下を通っている。小胸筋が収縮すると血流が制限され神経が圧迫されるので、うずいたり感覚が鈍くなったりする事がある。
レイチェルの治療がうまくいった重要な部分は、痛みを持続させていたファクターを明らかにして取り組んだことだ。彼女はマウスを使うことは肩を悪化させることを学んだ。トラックボールに変えてより永続的な症状の軽減が得られた。加えるに、体に近すぎたキーボードの位置を変えて、肘がより自然な90度を保てるようにした。トラックボードはキーボードと同じ高さにした。
テニスによる痛み
リサはMRに来たのは、"テニス肘"のためだった。徹底的検査をしてた。彼女は以前に痛い所にステロイドを打つ治療を受けていたことが分かった。これは一時的によくなるように見えるが、注射もその他の治療もリサの痛みを完全に治すことはなかった。彼女の主な悩みはテニスだったが、コンピュータでタイプをうつとかジャーをひねるとか大掃除のような日常のことにも痛みを感じはじめていた。
リサのテニス肘はイラストAで示す回外筋の痛みパターンに最も一致した。肘を完全伸展した状態でテニスのラケットを使うとこの筋肉が障害される。リサのスポーツ活動で障害を受けているのはこの筋肉だけではなかった。
前腕を触診して、肘の上に付着する長い筋肉にトリガーポイントがあることが分かった。それはリサが痛みを示した場所で、また、ちょうど母指の上のところにも痛みを示した。この筋肉は腕橈骨筋でイラストBに示す。この筋肉は母指のところに痛みを作る。リサは当初、これは無関係だと思ったのでそのことを告げていなかった。筋筋膜トリガーポイントのテラピストにとって、特徴的痛みのパターンは、原因となっている筋肉の指標となる。
イラストCに示すように、橈側手根伸筋長頭もまた、肘の外側と母指と示指のちょうど上の手の背側に痛みをつくる。この筋肉を調べるとこの筋肉にも活動性のトリガーポイントがあった。
各筋肉を治療しながら、痛みの原因となる動作を説明した。リサの痛みが"なぜ"おきたのかを知ることは治療が成功したあと再発しないようにするのに役立つ。これらの動きは障害を永続させるという点で"永続要因"といわれている。それを特定して修正しないかぎり、再発は時間の問題だ。
リサが私達にバックハンドを見せたとき、ラケットの先が下を向いているのに気がついた。これは上記の筋肉すべてを過度に使用してトリガーポイントを形成する可能性がある。また、リサにとってグリップが太すぎることが分かった。その欠点を補おうとして、橈側手根伸筋長頭と腕橈骨筋を過剰に使うことになる。彼女が新しいラケットを買った理由はまさにこのことだった。フォームを改善するためにテニスのレッスンを受けるようにすすめた。
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